ある晴れた日の午後、大学入学のために上京してきたばかりのわたしは、外にも出ず金融関係の本に夢中になっていた。
独り暮らしを始めるにあたり、お金の管理について、当事者意識が湧いてきたのだ。
突然、開いた窓から小鳥が飛んできた。
きれいな青色で可愛らしい外見だが、やけに流暢な日本語で話しかけてきた。
東京は新しい出来事が多すぎる。
「こんにちは、金融について学ぼうとしているのですね。」
聞けばこの鳥、元々はアメリカにいたらしく、金融については自身があるのだそう。
投資で資産を成長させる
「投資のメリットから始めてはどうかな?」
わたしは無言でうなづいた。
「まずは、資産の増加と購買力の維持。」
「貯金は超低金利だから、なじみのない感覚かもしれないけど、お金は増える性質も持っているんだ」
「お金を安全に置いておく手段が銀行貯蓄だとしたら、お金を増やすための手段は投資になる」
「投資することで、貯蓄するよりも早くお金を増やすことができるんだ」
複利と長期的な資産形成の力
「投資することがなぜお金を増やすことになるのか?」
わたしはまた、無言でうなづいた。
「そもそも投資とは、自分のお金を別の”何か”に変えて、リターンを期待することなんだ」
「”何か”は、誰かのビジネス(株式や債券)だったり、価値のある物(金・不動産)だったりするよ」
「株式だったら会社そのものの成長による”株価の上昇”や”配当金”という形のリターンを期待するのさ」
「10万円を投資して、毎年5%の利率で増えると、毎年5,000円ずつ増えていくね。これが”単利”という考え方。」
「ところが、毎年増える5,000円をそのまま投資に回す(次の年は10万5千円を投資する)と、次は5,250円増える。さらに増えた分も投資に回す。雪だるま方式に増えた分も増えていく、これが”複利”なのだ!」
「”複利”の力は、あのアインシュタインも認める最大の発明で、長期間で複利を利かすことが、投資による資産形成の””唯一””のコツというわけさ」
リスク分散
増えたら再投資して、ほったらかしにしておけばいいってことかな・・・?
どうやら投資というものは、わたしが思っていたよりも長い目で見るものらしい。
「ここで一つ注意をしておくね。株式だったら倒産や業績悪化などのリスク、土地や不動産だったら災害や市政などのリスクがある」
「リターンを求めるからには必ず、リスクが伴うことを忘れないでね」
「だから、基本的には一つのモノではなく、複数のモノに分散して投資を行うことが必要なんだ」
「世界中が資本主義社会で経済が発展していることから、
全世界株式を対象とした”投資信託”とかが初心者におススメだよ」
全世界株式の投資信託を調べてみると、年によっては乱高下するけど、基本的には右肩上がりで、3~5%くらいの年利のようだ。
「投資は一度きりではないよ。投資先の種類が多いなら、定期的に見直して再投資する必要があるからね。自分だけのオリジナルポートフォリオが見つかるといいね」
そういうと、青い鳥は窓から去っていった。
ポートフォリオってなんなんだろう。。。
私は一度、自分の資産というものについて整理してみた。
仕送りやこれから始めるバイトの収入。奨学金は・・逆に利率を取られるのかな。
食費に家賃、光熱費、通信料と雑費に、万が一の月々の貯金。
ざっくりだけど、毎月5千円くらい投資に回せたら学生としては十分なのでは?
学生の時分、増えていくであろう雑費に懸念が残るものの、今日一日、まだ声を発していないことに気が付いた。
『あーー、収入増えないかなぁ~~』
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